Matsu no Sakae (Yamada Ryu)
松の栄
[ジャンル] | 箏曲 |
[流派] | Yamada Ryū - 山田 |
詩 :
いくよかは、つきひふりにしひめまつの、 すぎけむ昔しら雪の、 つもりつもりしふかみどり、露もらさじと茂り合ふ、 梢になるるともづるの、ゆふべのとこのおきゐにも、 松風をのみかたしきに、つばさならべてよろづよも、 よそにもなほやあしたづの、いもせとちぎるもろは貝、 思ひぞこもるあかつきの、鐘もひびきていとどしく、 野辺の遊びもねの日なる。 松のかむろのふたばより、ふくむいろかも千代のはし、 かすむ男の引くそでに、たそうつりぎな青柳の、 乱れし髪もわらはびん、じふにひとへにひととせの、 四季の眺めを重ねきて、ここのへ匂ふ花の空、 うたふかはづのみじか歌、日も長うたに鶯の、 こととふはつねのきばもる、松のしたばの色はなほ、 まさきのかづらながき代を、散りうせずして此の宿の、 さかえは同じ松がえの、つきせぬ影こそ目出たけれ。 |